私と言う存在

私には、兄弟姉妹がいない
母曰く「父親が、子種の薄いタイプ」だったらしい

私と言う存在も、奇跡的に宿った命だったそうなのだが
当時の父は、まだ結婚と言う『枠』に縛られることを拒んでおりまして…
有り体に言えば
「金は払うから、堕胎してくれ」と、のたまわったそうな

それを母が
「嫌なこったい!」と拒絶をし
尚且つ姿を消したらしい
が!!!
威勢よく飛び出したはいいが
住む場所探しには、かなり困難を極めたらしい

田舎から出てきていた母は、実家に帰ると言う選択肢は選べず
兄と姉、妹4人を頼りにしようとしたらしいのだが
想像してみて欲しい
半世紀ほど前の時代
未婚の女性が、子供を宿している…

理解も援助も示されること無く
「二度と顔を見せるな!」
「敷居を跨ぐな!」系の言葉を浴びせられるのだが
まぁ、それも致し方なしな部分もある
何故なら母、この状況に至る前
実は結婚していて、子供も生んでいた
しかし、その子供を置き去りにして離婚し…
今度は未婚で命を宿したわけだから
学習しないと言われようと
無責任だと糾弾されようと、自業自得な部分が有りすぎる


でもね
堕胎して、お金を受けとることをせず
私をこの世に産み落としてくれて有り難う!
等と思ってはいけない
先にも書いたが、父は子供を成し難いタイプの男性

父は長男
な上に…『跡取り』と言う肩書きまで背負っていた



必然的に…『私』と言う存在が
父にとって『必須』でもあり『足枷』にもなってしまい
母にとっては…
まあ、ねぇ?
最高の金づるになるわけですよ